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【川端安里人のシネマジプシー】vol.11 永遠のオリヴェイラ

FILM 2016.12.07 Written By 川端 安里人

 

先月 (2016年11月) 11/19~25日まで大阪にある名ミニシアター、シネ・ヌーヴォで「永遠のオリヴェイラ」という特集上映が行われていて、自分は足繁く通っていました。これはマノエル・ド・オリヴェイラという2015年に亡くなったポルトガルの映画監督の追悼特集上映でした。

 

 

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http://jc3.jp/oliveira/

 

 

マノエル・ド・オリヴェイラ、この人は本当に本当に偉大な監督で、なんと生まれたのが1908年。106歳で亡くなるまで生涯現役を貫いた、まさに生きる映画史のような人だったわけです。『カニバイシュ』や『春の劇』といった、名前は聞くけどソフト化されていない貴重な作品を初めて目にして、映画でしか表現しえない凄まじい感動とともに、彼の新作がもう見れないという現実にひどく悲しくなりました。でもそれ以上に悲しいのはやっぱりあんまり人が集まってなかったことです。映画という20世紀に開花し、大衆に愛された文化を象徴するかのような巨人の追悼上映が満員じゃない。

 

 

別にくどくどと日本の (観客の) 文化レベルの低さを嘆いても仕方がないんですが、2010年に公開されて6年経った今年になってようやくソフトが発売された瑞々しい傑作『ブロンド少女は過激に美しく』などでもインターネットのユーザーレビューなんかをのぞいて見ると「意味不明」だの「眠くなる」だのといった低評価がちらほらと見受けられる。

 

 

 

 

「映画は娯楽だ」、いや「映画は芸術だ」なんて意見の衝突があるかもしれないけど、いやいや、そもそも芸術は娯楽なんですよ。その美しさとその崇高さに素直に感嘆できず楽しめないなら、それはもう本能的にネズミ型のおもちゃを追いかける猫と何も変わらないんじゃないか。

 

 

そんなことを思っていたらある有名な日本料理店の店主が以前こんなことをテレビで嘆いていたのをふと思い出した。「最近は化学調味料などで刺激的な味覚になれすぎた結果、出汁本来の旨味をわかる人が少なくなってきた」、さらにこんなある画家の嘆きも思い出した「昔の人は一枚の絵画に何時間も向かって思いを馳せていた、でも今はせいぜい10分ほどだ」と。

 

 

あぁ、そうか映画も同じなんだな。新しい情報をテンポよく受け手に提供するのを良しとする、現代のインターネット、ゲーム、ハリウッド大作映画、アニメ、それらのあり方を戦犯として糾弾するつもりはない。ただそれらの影響下にある多くの若い観客は (自分と同世代を含む)、映画本来のエレメントの魅力を感じ取れなくなっているんだろう。オリヴェイラの映画の中に流れる緩やかで贅沢な時間、あるいはただ単に男と女が窓越しで見つめ合うだけの切り返しにおける素晴らしい撮影や照明技術、さらにはその切り返したカットの妙……。

 

 

マノエル・デ・オリヴェイラ傑作選

 

 

これ以上映画で真面目に話すと堅苦しくなって嫌なので料理にたとえて話そう。自分はファストフードが大好きだ。それでもしっかり手作りでこだわって作られた料理は本当に美味しいと思うし、ファストフードには絶対出せない旨味や魅力がある。もちろん逆にファストフードには化学調味料でしか出せないジャンキーな魅力があったりするし、時にとてつもなく美味い新商品があったりするのもまた事実だ。それに料理は日本料理やアメリカのハンバーガーとかステーキだけじゃなく、世界中に独自の料理というのがあって、それぞれにこだわりやらその国特有のスパイスなんかがあったりする。正直いって美味しい料理は国とか文化とか関係なくたまらなく美味しいし、それに優劣をつける気なんかさらさらない。

 

 

正直いってファストフードだけ、日本料理だけを食べるのは勿体無いと思う。世界中に美味しい料理が満ち溢れていて、単純に知らないだけかもしれないけど、どうして皆それを食べないのか全く自分には理解できない。もし、あなたがファストフードが嫌になって、本格的な料理、それも素材本来の味を堪能できる料理が食べたいなら超老舗の「マノエル・ド・オリヴェイラ」が超オススメ。本当にエレガントで時に素朴でたまらないほどうまいんだから。

  

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