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【山田克基の見たボロフェスタ2016 / Day2】BiSH / チプルソ / 加藤隆生(ロボピッチャー) / 渡辺シュンスケ(Shroeder-Headz、cafelon)

山田克基のボロフェスタ二日目 :BiSH ⇒ チプルソ ⇒ 加藤隆生 (ロボピッチャー) ⇒ 渡辺シュンスケ (Shroeder-Headz、cafelon)

今年ボロフェスタに初めて設置されたどすこいSTAGE。昨年まではBeelow STAGEと名付けられていたKBSホールロビーに設置されたステージだったが、今回はボロフェスタスタッフの発案によりロビーに手作りの土俵を持ち込みその名が付けられた。天井の照明の周りには水引幕まで作られ、出演者の名前は懸賞旗に書かれるという手の込みよう。なぜ土俵なのか、以前にそういう発想をかなり細かい所まで具現化してしまうのが、ボロフェスタの面白いところである。この初めて設置されたどすこいSTAGEは今年のボロフェスタでも注目すべきポイントである。ということで、二日目はどすこいSTAGEを中心に回ることにした。

BiSH

とは言いつつも、メインホールに入ってしまったのは彼女たちを見るためである。昨年、BiSHをボロフェスタで見てドはまりしてしまった僕は、twitterなども追いかけてしまっている。ここは見に来るしかないだろう。ホールに入ってまず驚いたのは清掃員(ファンの総称)の多さである。昨年よりもかなり増えている。BiSHはこの一年で環境が大きく変化した。メジャーデビュー、メンバーの離脱、新メンバーの加入。それでも彼女たちは走り続けてきた。その結果がこれほど多くの清掃員を増やし、またこの場に帰ってきたのである。

 

そして1曲目の“星の瞬く夜に”から清掃員は一気に前のめりになる。ステージ上の彼女たちは昨年との景色の違いに驚いていただろう。しかし、それこそが彼女らが全力で走ってきた証なのである。大きな動きも可愛らしいフォーメーションも前回に比べてダンスのキレもかなり上がっている。ふにゃふにゃだったモモコグミカンパニーの手首も心なしかピシッとした気がしないでもない。モモコは今年も可愛い。“ALL NEED YOU LOVE”まで全7曲、彼女たちの全力がステージ上で煌めいていた。BiSHの肩書きが「楽器を持たないパンクバンド」となっているように、その煌めきはアイドルのそれではなく、バンドに近いものがあった。

チプルソ

さて、どすこいSTAGEの前に行くと早めの時間からリハーサルが始まる。ロビーには人だかりができる。音出しだけでこれだけの求心力は目も見張るものがある。リハーサルが終わるころには本番ではないかという程の人が集まっていた。

 

リハーサルが終わってしばらくすると、KBSホールの外では玉入れが行われた。昨年は綱引きなど、お客さん参加型の催しはボロフェスタではおなじみとなっている。夕暮れ時に良いテンションになったお客さんが建屋内に入るとチプルソのライブ直前。先ほどの音出しを超える人がどんどん集まってくる。

 

ヒューマンビートボックスからまずはフリースタイルでお客さんを沸かせる。この時間帯、程よく酔いも回ってきた所で心にすっと入ってくる。ライムを決める度に会場からは歓声が聞こえる。そして英語も織り交ぜた超高速フリースタイルでどんどんお客さんを捲し立てる。「皆さんと一緒にこのステージを作っている」とチプルソは言ったが、まさにそれが体現されていた。お客さんの揺れるビートや歓声とチプルソの言葉が一つの音楽を作っていた。ステージも半分ほど過ぎたあたりで、アコースティックセットに移行する。こちらもまたゆらゆらと漂える気持ちよさ。天井の明かりを消して暗くなったフロアでチプルソの言葉と僕たちは一つになった。最後にはステージを降りてフロアへ。歓喜の渦の中チプルソは去っていった。

加藤隆生(ロボピッチャー)

続いてどすこいSTAGEに登場したのは、加藤隆生(ロボピッチャー)である。僕はこの瞬間を待っていた。ボロフェスタの創始者の一人にして、初代代表。現在はボロフェスタを離れてミュージシャンもしながらリアル脱出ゲームでも有名なSCRAPでエンターテイメントの表現の幅を広げている。ロボピッチャーも加藤隆生も京都を中心に活動をしていた時、間違いなく僕らのヒーローだった。その男が記念すべき15周年のボロフェスタで帰ってきたのだ。

 

 

曲が始まると、僕の胸は高鳴る。ギターのストローク、グリップ、そして中音域に伸びがあり時々しゃがれる声。僕らが見ていた加藤隆生が今目の前で歌っている。「かっこいい」という子供じみた感想が僕の中には膨れ上がっていた。「ボロフェスタに出るのに何も持ってこないのは……」と新曲”10月30日”を持ってきた加藤。なんと当日のぎりぎりまで詩を書いていたという。ギターを弾きながら語るスタイルのこの曲はボロフェスタについて書かれていた。時折ジョークも交えながら展開はされたが、ボロフェスタを離れた加藤だからこそのボロフェスタへの想いに僕は自然と涙がこぼれた。最後に「来年また会いましょう」とステージを降りた。これだけの感動を残してくれた彼にまた会えた時はさらに「かっこよく」なっているのだろう。

渡辺シュンスケ(Shroeder-Headz、cafelon)

どすこいSTAGEのトリは初日のトップバッターでもあった渡辺シュンスケだ。Shroeder-Headzではインストを、cafelonでは歌ものをしている渡辺だが、ソロ名義の際はどちらの楽曲も披露される。まずはShroeder-Headzの楽曲“Blue Bird”からその表現力を魅せつける。そして3曲目にはcafelonの“凹凸バイ”。彼の大人の魅力あふれる甘くもあり渋くもある声でフロアを虜にする。歌詞にも生活感があり、なんの躊躇いもなく僕たちの心に入ってくる。こんなに多彩な音楽を見られるのはソロ名義ならではだ。

 

映画音楽やプロデュースなど多岐に渡り活躍の場を広げる渡辺だが、自身も出演したという映画『ハローグッバイ』から“手紙が届けてくれたもの”を5曲目に披露。フロアは完全に彼に見惚れている。空気を作ったまま本当にあっという間にステージが終わる。まだまだ聞き足りないお客さんはすぐさまアンコール。アンコールでは彼も尊敬しているというシンガーソングライター、ボロフェスタではおなじみのゆーきゃんが登場。Shroeder-Headzの楽曲にゆーきゃんの詩が重なる。ゆーきゃんは言葉を読む天才だが、彼の音楽に見事にはまる。そして渡辺もまたゆーきゃんの声を聴いて表現力がさらに高まる。二人の天才がステージ上でぶつかり合ってお互いの魅力が何倍にも増していく、これがコラボレーションの神髄だと感じさせる嵐のような演奏だった。

 

2日目はどすこいSTAGEを中心に見た僕だが、ボロフェスタの面白さがぐっと詰まったブッキング、お客さんの雰囲気も他のステージとは違うアットホームな雰囲気がある。ステージ毎に全く違う景色を見せてくれた上で、一貫してボロフェスタを突き通すのがボロフェスタがボロフェスタたる所以なのだと感じる事が出来た。どうか来年もその先も新たな音楽と僕たちの出会いの場であり続けてほしい。

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