
田中ヤコブが新曲“BIKE”のミュージックビデオを公開
ラッキーオールドサンのバンドセットでは髪を振り乱しながら猛烈なギターを弾き、石指拓朗のバンドセットでもフォーキーな歌心にギターを弾き倒してドクドクとエモーションを注入していく。かと思えば浮(buoy)の1stアルバム『三度見る』では繊細な歌心を支えるアレンジメントをしたたかに施し、率いるバンド 家主では昨年のアルバム『生活の礎』で飄々と登場して話題を呼び、極めつけにソロで発表した楽曲“THE FOG”が星野源が選曲したプレイリストの最後に据えられてしまう。日本から飛び出すグッド・メロディのそばにはヤコブあり。誇張なく言えてしまうだろう。
そんな田中ヤコブが再びソロワークスに着手。『お湯の中のナイフ』(2018年)以来となる2ndフルアルバムを年内リリースで制作しているようだが、先だって新曲“BIKE”のミュージックビデオがこの度公開された。
全ての楽器をヤコブが演奏した宅録スタイルなのは『お湯の中のナイフ』から引き続きだが、ねちっこくタメの効いたグルーヴと、Road to my roadの景色が広がる、バイクを傍らに置いた物語には2019年に公開した“LOVE SONG”にも通じている。そこに加えてシンプルでありながら狂おしいほどのメロディが次々に飛び出して、終わりに向けて折り重なっていくポップ・ソングとしての構成力に圧倒されるだろう。特に後半から幾重にも繰り返される「君を思い出すものを持ってる!」の一節に滲む、虚勢と寂寥と、ほんの少しのハードボイルドったら……。
ミュージックビデオの撮影、編集を手掛けたのもヤコブ自身。様々な土地で、果てしなく続く道をバイクでかっ飛ばしていくヤコブの旅情が収められている。
You May Also Like
WRITER

- 副編集長
-
1991年生まれ 新宿勤務会社員兼大阪人兼高円寺在住。
OTHER POSTS
アンテナに在籍しつつミュージックマガジン、CDジャーナル、Mikikiなどにも寄稿。
過去執筆履歴はnoteにまとめております。
min.kochi@gmail.com