REVIEW
アメリカン
クララズ
MUSIC 2020.03.27 Written By 峯 大貴

春のクララズ、澄み切った旅路の風景を歌う。

 

シンガーソングライター山内光によるソロプロジェクトであるクララズの、アルバム『海が見えたら』(2018年)以来の新作は、50本限定のカセット・シングルとしてのリリースだ。ブリットポップやパワー・ポップ由来のジャングリーにかき鳴らすギター・サウンドが基軸だが、熟達したソング・ライティングの影にはNick Lowe、Teenage Fanclub、Ron Sexsmithを思わせる気骨も感じられる。併せて、華奢な身体から放たれる朴訥ながら真っすぐ突き抜けていくフォーキーな歌声や、目の当たりにしたものを独自の目線で愛でることで、ささやかなニヒルが滲む歌詞に惹きつけられるのがクララズ・ソングの魔力だ。

本作はそんな多角的に折り重なる彼女の魅力の源泉から、歌声と詞に現れる視点・情景にフォーカスした、フォーク・アプローチの2曲が収録されている。表題曲“アメリカン”はライブでもサポートを務めるアダチヨウスケ(Ba)、たけとんぼの平松稜大(Gt)ときむらさとし(Dr)を演奏に迎えた、いなたいロック・チューン。また米山ミサ()と謎の人物・しゅるりん三浪もコーラスで参加しており、気心知れた仲間たちとのカジュアルな空気感も彩りを加えている。井上陽水“夢の中へ”にも通じるウキウキとしたメロディラインに乗せて、旅の途中に訪れたどこかの街の銭湯、喫茶店、映画館と巡っていくストーリーだ。

一方アコースティックギターの弾き語りによる“峠”も、列車に乗りながら遠方に向かって移りゆく景色と共にぐるぐると思索を巡らせている様が描かれている。くるり“五月の海”を思わせる軽やかなコード感と、平坦に転がっていく感情のゆくえの余韻がたまらなく心地いい。(余談だがクララズには、スライドギターを雄大に響かせながら、朗々と歌い上げる“12月の海”という楽曲もある)

バンドと弾き語り、アプローチは違えど両曲に共通する、早朝の列車、コーヒー、遠くに離れたあなた……。本作は日常から一歩足を伸ばした、旅情に浸る歌紀行なのだ。うららかな春の気候にも関わらず、自由に旅にも行けやしない窮屈な世の中。クララズよどうか、夢みたいな話をしていてくれ。

 

クララズ『アメリカン』

 

 

収録曲:

A.アメリカン

B.峠

 

発売:2020年4月26日(日)

価格:880円(税込み)

※50本限定カセットシングル

 

取り扱い: 通販、ライブ会場限定

カセット『アメリカン』ダウンロードコード付 | クララズショップ 

 

■レコーディングメンバー

A.アメリカン

Vocal , Guitar クララズ

[ゲストミュージシャン]

Chorus 米山ミサ(浮)、しゅるりん三浪

Guitar 平松稜大(たけとんぼ)

Bass アダチヨウスケ

Drums きむらさとし(たけとんぼ)

 

B.峠

Vocal , Guitar クララズ

 

レコーディングスタジオ:スタジオハピネス、

レコーディング・ミックスエンジニア:アダチヨウスケ、クララズ

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