COLUMN

【SXSW2020私ならこれを見る:下飼 凌太】THE TOMBOYS:多様な音楽を飲み込んだ四人組のおてんば娘

MUSIC 2020.03.13 Written By アンテナ編集部

コロナウィルスの影響でキャンセルが決定したSouth by Southwest 2020(以下:SXSW)。彼らが掲げる「The show must go on」の精神にのっとり、ライティングワークショップ(音楽編)の受講生が注目していたアーティストのレコメンド記事を掲載します。

2010年代の後半になってくると星野源やSuchmos、D.A.N.といったブラックミュージックから影響を受け、独自の解釈を得て発信しているアーティスト達が活躍するようになっていった。加えて、彼らの楽曲たちがチャート上でも検討することによって、日本の音楽業界における「洋楽」といった単語に対する曖昧化と、そもそも邦楽か洋楽かでジャンル分けをすること自体がナンセンスであるということを物語っているはずだ。そしてそういった傾向は日本国内だけに留まらず、海外で起きている動きとほぼ同時進行で起きていることが伺える。そんな中、私が今年のSXSWで注目しているのはTHE TOMBOYSというバンドだ。

日本人女性4人による彼女達の楽曲達は非常に多彩なジャンルがうまく散りばめられている。楽曲を聞いていると60年代のR&Rやロカビリーに影響されたような音色がしている。そしてライブの演奏スタイルもメンバーが動きを合わせている点が、ビートルズや日本のGSを彷彿させる“動きで魅せる”スタイルを自分達の解釈でうまく発信していっている。耳の肥えておられるご年配のリスナーの方々も唸らせることのできる仕上がりであるだろう。

 

そして60年代だけではなく、昭和歌謡テイストの楽曲もあるし、パンキッシュでかなりの熱量をTHE TOMBOYSからは感じられる。SCANDALやザ50回転ズとの親交があるという点においてやはり大きな影響を受けていることが感じられる。

このバンドには多くの強みを含めているが、多くのリスナーがこのバンドに魅せられる一番の要因は「音楽は楽しい」といった感情が溢れ出ているところだろう。ステージでは息ぴったりではち切れんような笑みを浮かべているメンバー達がその場にいる。TOMBOYを和訳すると「おてんば娘」と訳することができる。このフレーズを体現するかのようなライブパフォーマンスがTHE TOMBOYSの魅力であり、何故か目が離せなくなるようなエネルギーを放出しているように考える。

 

2011年にTHE TOMBOYSは原型としてNoNameといったバンド名で現メンバーで結成されている。2016年にロックの聖地といっても過言ではないロンドンでバンド名を現在のTHET OMBOYSに改名した。改名してから一発目のレコーディングではかの有名なSexPistolsのオリジナルメンバーでもあるグレン・マトロックによって行われている。それ以降もグレンとは定期的にレコーディングなどで親交を深めていっている。彼は「日本のバンド」といったある種の固定概念や色眼鏡で見ておらず、純粋に「良い音楽、良いカルチャーをこれからの世代にも広めていきたい」といった少年みたいな純度の高い感情でTHE TOMBOYSと関わっていることが感じられる。このエピソードから彼女達の音楽がいかにハイブリッドであり、「日本のバンド」がSXSWに出るのではなく、多彩な音楽背景をしっかりと確立したアーティストを選出しているSXSW においてそれをしっかりと体現できているのがTHE TOMBOYSであり、彼女たちが偶然にも日本のバンドであったというのも今回のSXSWにおける象徴的な事象といえるだろう。 

 

日本国内だけでなく世界規模で音楽ジャンルに対する垣根が薄まりつつあり、シームレス化が急激に加速していく中でTHE TOMBOYSの多彩なソングライティング能力と見ているだけで日々の日常で生産される疲労感なんぞ吹っ飛ばしてくれるライブパフォーマンスはきっと現地のオーディエンスにきっと、いや必ず届くと信じている。

寄稿者:下飼 凌太

 

 

プロフィール

音楽と銭湯と本を読むのが好きな滋賀県民。

今年の春から北摂の民となりました。

サウナか鳥貴族に大体生息しています。

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