REPORT

the coopeez newbalance tour @京都MOJO ライブレポート

MUSIC 2014.09.15 Written By 堤 大樹

彼らの見つけたニューバランス

「馬鹿にされてもコケにされてもしぶとく続けたい」と公言しているバンドthe coopeez(以下coopeez)。そんな彼らがどのような節目をむかえるのか確認したくてツアーファイナルワンマンへと足を運んだ。

 

2002年に結成し、しぶとく活動を続けて今年の5月に2ndフルアルバム『newbalance』をリリース。3ヶ月に及ぶツアーのファイナルということからか、ずっとcoopeezを見守ってきたであろう歴戦のファンや、『newbalance』から彼らのファンになったであろう若い女の子など沢山の人が集まっていた。そんな幅の広いファンたちに見守られて早くもあたたかい雰囲気が会場には漂っていた。

 

定刻から10分ほど遅れてメンバーが登場し、大きな拍手がメンバーに送られる。それと同時に『newbalance』の一曲目の“イントロダクション”をVo.藤本が叫び、そのまま“ヒント”へと突入。お客さんのテンションをのっけからあげていく。

 

coopeezの素晴らしいところは、非常に音の大きいバンドにも関わらず藤本の歌う歌詞が耳にすっと入ってくるということだ。“ヒント”で繰り返し「ここには誰もいない」と歌っていたが、満員の京都MOJOを見て藤本はなにを思ったのだろうか。

 

その後は“途中の人”、“クイズ”と新譜から立て続けに演奏。特にリード曲のひとつである“途中の人”はイントロが始まった瞬間に観客から歓声と拳があがり、バンドメンバー以上にお客さんもこのライブを楽しみにしていたことが伺えた。

 

それまでの雰囲気をがらっと変えたのは“恐竜人間”である。この日初めてのMCをここで挟み、「Do you like meat!?」と藤本がお客さんを煽りまくる。これまでのロック調のエイトビートから一転、藤本はギターを置いてまるでラッパーのように振る舞い、Ba.山本のベースがウォーキングしファンキーな楽曲へと変化する。この曲を聴いているとcoopeezがただのロックバンドではなく、様々なジャンルから色濃く影響を受けていることがわかる。音楽そのものに造詣が深く、この楽曲だけに関わらずメンバー全員が実に器用に様々なリズムを弾きこなす。

 

その後MVにもなっている“カレーとライス”や、“大人の階段“など新旧織り交ぜていくつかの曲を披露。途中で結成以来はじめてだというバンド紹介をしたり、演奏中に藤本がメンバーにキスをしたりと非常に和やかな雰囲気でライブが進んでいく。

 

私のcoopeezが好きなところはコーラスワークの美しさだ。メンバー全員の前にマイクが用意されており、メンバーの声質ごとに使い分けている。山本と、Dr.森田のリズム隊はコーラスでもかなりの存在感を放っており、“オンナノコ・ネバーギブアップ”ではいかんなくその力を発揮していた。隣で見ていた女性がじっと聞き惚れていたのも実に印象的であった。

 

この日のために作ってきたという新曲や、coopeez最初期のナンバー“僕らのサーカス”が演奏されるなど、全てのファンが満足するセットリストだったように思う。最後はアンコールに応えて1st アルバムから、“本当のAボーイ”、“イキザマ NO CHANGE”の2曲が演奏された。“イキザマ NO CHANGE”では藤本がフロアにマイクを移動して暴れ回り、それに呼応するかのようにオーディエンスも踊り狂う。マイクをスタンドから落とすもお客さんに持たせて歌うなど、フロアが一体となり大盛況のうちにこの日のライブは終了した。

 

藤本の歌はとても前向きだ。しかし以前coopeezを聴いて抱いた印象は、非常に内向的と言うか、彼ら自身に対して言い聞かせている部分が強いということだった。だが今日のライブに関して言えばそんなことは全くない。終盤のMCで藤本が、「ニューバランスなんて見つからなかった。それでも誰かの役に立ちたい」と言っていた。これまで沢山の苦労があっただろう。彼ら自身の求めるハードルの高さから、納得するラインになかなか到達できず悩むことも多かったはずだ。その上でみんなの為にやると覚悟を決めた彼らは確実にひとつ上のステージにあがった。そんなことを思わせる2時間だった。

 

途中のMCで「来年には新しいアルバムを出したい」と言っていた。これからもしぶとく活動を続ける彼らに注目していきたいと思う。

WRITER

Recent Posts

INTERVIEW
都市の文化にふれながらバランスよく生きられる場所が無い!!〈汽水空港〉店主・モリテツヤインタビュー
COLUMN
書評企画『365日の書架』12月のテーマ:もっと読むのが好きになる
INTERVIEW
【Identify Me vol.01】写真家・金サジ
COLUMN
【東日本編】ライブハウス・クラブでの思い出のエピソード
COLUMN
【西日本編】ライブハウス・クラブでの思い出のエピソード
COLUMN
【Dig! Dug! Asia!】Vol.1:Stars and Rabbit
INTERVIEW
【with your eyes】番外編:Allan Dransfield(アラン・ドランスフィルド)
COLUMN
堤、ウズベキスタンへ行く – 単一の文化ってなんだよ –
INTERVIEW
自分たちで責任を取り続けられる企業であるために。FREITAGの創業者Markus Freitag来…
INTERVIEW
台湾インディーシーンの最前線を走り続けるSKIP SKIP BEN BENこと林以樂、初の本名名義と…
COLUMN
【2019年10月】今、大阪のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年09月】今、大阪のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年08月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
制作もライブも自然体で。京都のシンガーソングライターいちやなぎインタビュー
COLUMN
【2019年07月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
堤、中国を経由してロシアへ行く – すべての道はアベンジャーズへ通ず – 【…
COLUMN
堤、中国を経由してロシアへ行く – すべての道はアベンジャーズへ通ず – 【…
COLUMN
【2019年06月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年05月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年04月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年03月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
堤、インドへ行く – 写真と音で巡る、北インドローカル旅 – 後編
COLUMN
堤、インドへ行く – 写真と音で巡る、北インドローカル旅 – 前編
COLUMN
【2019年02月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年01月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年12月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年11月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年10月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年9月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REVIEW
【3×3 DISCS】Homecomings – Songbirds
INTERVIEW
ボロフェスタ主催のひとり飯田仁一郎に聞く、ナノボロフェスタでトークイベントを行う理由
SPOT
出町座
INTERVIEW
【モーモールルギャバン / ゲイリー・ビッチェ】好きで好きでたまらない!スーパーノアは俺に語らせて!…
INTERVIEW
【くるり / ファンファン】好きで好きでたまらない!スーパーノアは俺に語らせて!3rd mini a…
COLUMN
【2018年7月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年6月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REVIEW
【3×3 DISCS】Siamese Dream – The Smashing Pump…
REVIEW
【3×3 DISCS】MISS YOU – ナードマグネット
COLUMN
【2018年5月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
「自分たちが面白いことが一番面白い」この二年間の活動の変化を、踊る!ディスコ室町Vo.ミキクワカドに…
COLUMN
【2018年4月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
【SXSW2018】国別に見る、良かったアーティストまとめ
REPORT
【SXSW2018】世界のミュージックフリークスに聞いた、今年のおすすめ出演者
REPORT
【SXSW2018】日本のミュージシャンの世界への接近と、各国のショーケース
COLUMN
ki-ft×アンテナ共同ディスクレビュー企画『3×3 DISCS』
REVIEW
【3×3 DISCS】Man Of The Woods – Justin Timberl…
COLUMN
【2018年3月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年2月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
堤キューバへ行く - 出入国編 –
COLUMN
堤キューバへ行く - 食事編 –
COLUMN
堤キューバへ行く - トリニダー編 –
COLUMN
堤キューバへ行く - ハバナ編 –
COLUMN
堤キューバへ行く - まとめ –
COLUMN
ライブハウス店長・ブッカーが振り返る、2017年ベストアクト
COLUMN
HOLIDAY! RECORDS / 植野秀章が選ぶ、2017年ベストディスク10
COLUMN
【2017年12月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【月一更新・まとめ】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
映画『MOTHER FUCKER』京都みなみ会館 特別先行上映レポート
COLUMN
【2017年10月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
俺の人生、三種の神器 -堤大樹 ③広島東洋カープ編-
INTERVIEW
【特別企画】ミュージシャン、好きな映画を語る – バレーボウイズ・本日休演・踊る!ディス…
REPORT
【SXSW2017】vol.0 まとめ
COLUMN
堤SXSWへ行く 番外編
COLUMN
堤SXSWへ行く Day10
COLUMN
堤SXSWへ行く Day9
COLUMN
堤SXSWへ行く Day8
COLUMN
堤SXSWへ行く Day7
COLUMN
堤SXSWへ行く Day6
COLUMN
堤SXSWへ行く Day5
COLUMN
堤SXSWへ行く Day4
COLUMN
堤SXSWへ行く Day3
COLUMN
堤SXSWへ行く Day2
COLUMN
堤SXSWへ行く Day1
COLUMN
俺の人生、三種の神器 -堤大樹 ②音楽編-
REPORT
終わらない孤独な旅で見つけた、彼女の”光”とは?Laura Gibson ジ…
COLUMN
俺の人生、三種の神器 -堤大樹 ①初めてのひとり旅編-
REPORT
the coopeez 『キネマBANPAKU』 @ みなみ会館 2016.05.21
COLUMN
堤手ぶらで台湾へ行く Last Day
COLUMN
堤手ぶらで台湾へ行く Day7
COLUMN
堤手ぶらで台湾へ行く Day6
COLUMN
堤手ぶらで台湾へ行く Day5
COLUMN
堤手ぶらで台湾へ行く Day4
COLUMN
堤手ぶらで台湾へ行く Day3
COLUMN
堤手ぶらで台湾へ行く Day2
COLUMN
堤手ぶらで台湾へ行く Day1
SPOT
朧八瑞雲堂
SPOT
吉靴房
SPOT
BOLTS HARDWARE STORE
REPORT
ナードマグネット – 怒りのデス・ワンマン@天王寺Fireloop 2015.12.20
COLUMN
堤日本へ帰る Day15
COLUMN
堤ヴェニスへ行く Day14
COLUMN
堤バルセロナへ行く Day13
COLUMN
堤バレンシアへ行く Day12
COLUMN
堤バレンシアへ行く Day11
COLUMN
堤バレンシアへ行く Day10
COLUMN
堤ジブラルタルを渡る Day9
COLUMN
堤モロッコへ行く Day8
COLUMN
堤モロッコへ行く Day7
COLUMN
堤モロッコへ行く Day6
COLUMN
堤モロッコへ行く Day5
COLUMN
堤モロッコへ行く Day4
COLUMN
堤モロッコへ行く Day3
COLUMN
堤モロッコへ行く Day2
COLUMN
堤モロッコへ行く Day1
INTERVIEW
CARD×椎木彩子の関係について:後編
INTERVIEW
CARD×椎木彩子の関係について【前編】
INTERVIEW
鈴木実貴子ズは何故ライブバー&鑪ら場を始めたのか?
REPORT
斑斑(skip skip ben ben) “台湾から来た二人” @公○食堂 2014.11.01
REPORT
スキマ産業vol.39 @ 木屋町UrBANGUILD ライブレポート

LATEST POSTS

INTERVIEW
ただ“おもろい”と思うことをやっていたら、いろんな「無い!!」に気づいた〈トマソンスタジオ〉インタビュー

REVIEW
CIFIKA – HANA

INTERVIEW
どうやって作られているか知るために現場を開く。建築集団「々」野崎将太 インタビュー

INTERVIEW
みんなの劇場が無い‼ 誰もが自分の言葉で語れるきっかけをくれる場所〈THEATRE E9 KYOTO〉あごうさとしインタビュー

特集『文化の床』の企画「#無い!!」では、満たされているはずの都市や生活の中で「なにかが無い」ことに…

ART
COLUMN
【Dig! Dug! Asia!】Vol.6 後編:ジャンルを融合させるパキスタンアーティストたち

「台湾のシーンが熱い」と透明雑誌が日本のインディーシーンを騒がせて、早くも10年近くになるだろうか。…