SPOT

革工房Rim

DESIGN OTHER 2016.02.29 Written By Dino

京都市役所から歩くこと約10分、富小路通を左手に視線をやりながら北上すると程なくして現れるガラス張りの落ち着いた佇まいのお店が”革工房Rim”です。

 

店内を覗いてみるとそこかしこに優しい色合いの革作品たちが並べられていて、色彩豊かな花畑のようにわたしたちをうっとりとさせます。大きいものは鞄から、小さいものはキーケースやアクセサリーまで1点1点全て手作りで仕立てられていてます。それぞれに風合いや表情があり、手に取った時の存在感は抜群です。

 

手に取ると、小さい子どもを愛でるように、なんだか気持ちが暖かくなってくる作品たちから、製作者であるオーナー・押野敬子さんの人柄の暖かさが表れているような気がしました。大量生産の商品では決して味わえない、手作りの感触。そして、”経年変化”していく革だから、一緒に歳を重ねていける喜び。そんな作品たちを「あなたの最初の革製品」にいかがでしょうか。

住所

〒604-0964

京都市中京区 富小路通二条上る鍛冶屋町 377番地1

※富小路二条上る西側4件目、グラウンド南隣

定休日

月〜水曜日

営業時間

13:00〜18:00

電話番号

075-708-8685

HP

http://www.rim-works.com

──

早速ですがなぜお店を始めようと思ったのでしょうか?

押野敬子(以下:押野)

最初は趣味で始めたのですが、だんだんと作るものが大きくなって、仕事にできたらなと思い始めてお店にしました。

──

京都という土地にこだわりはありましたか?

押野

会社を辞めて独立しようと思ったのですが、お店を持つには大阪は都会すぎて難しそうなので、こぢんまりとしたお店を持つには京都か、神戸のビルの一角がいいなと……(笑)。大きすぎず小さすぎず、奥まった所でもよかったんです。一人でやりやすい場所で考えていた時に、たまたま京都の知り合いが「町屋とかどう?」かと言ってくれて。それで京都に来て物件を探していると京阪五条の古い路地があって、そこにひとめぼれして店をやり始めました。何軒か同時募集で物作りをする人とかデザイナーさんを募集して、みんなでスタートしましたので、仲間がいてすごくやりやすかったです。

──

それでは五条でしばらくお店を続けてからこちらに移られたんですね。

押野

そうですね、五条で7年やっていたんですが、ちょっと変わった路地だったので移転というか卒業というか(笑)。わたしのあとは別の職人さんが入ったみたいです。

──

こちらの店舗(富小路の店舗)はいつ頃構えられたのでしょうか?

押野

2011年なので4年目ですね。

──

五条から今の場所に移って何か変わったことはありましたか?

押野

街中なんですけど、住宅街なので地元の方が多い印象です。建物が以前とすごく変わったので気分転換になりました。前は暗い町屋だったんですが、白い壁に憧れて(笑)。明るいし作業もしやすくて気に入っています。

──

作業は全てこちらで行われているのでしょうか?

押野

ここで全部作っています。

──

最初は趣味で始められたとおっしゃっておられましたが、”革”を扱うきっかけ等ありましたら教えてください。

押野

きっかけは、友人に端切れをもらったことなんですけど、そのもらった端切れで細長いペン差しを作ったんですが、それが仕上がった時にすごく感動してしまって。布とかだったらみんなできるじゃないですか。

──

たしかに革にくらべたらハードルは低いかもしれません。

押野

そうそう。「革を縫うってすごい!普通じゃできない!」って思っていたんですが、意外と簡単にできてしまったんです(笑)。しかも革というだけで完成度が高く感じられて、仕上がった時がすごく嬉しかったんですよね。以前は会社員として働いてたんですけど、こういう感動は今の仕事にないなと思って辞めてしまいました。小さいころの図工の感動というか(笑)

──

”物が自らの手で形になる”これほど嬉しいことは他にありませんね。

押野

そう。仕事も楽しかったんですけど、単純なわかりやすい完成というものが以前の仕事ではあまりなかったので。最初は趣味だったんですけど、純粋な喜びがあって、楽しいなあと思ったのが独立するきっかけです。革って最初は切れ端なんですけど、ちょっとずつ縫っていくことで立ち上がってきて、立体になるのが面白いです。

──

ありがとうございます。手作り市に出店したり、人の目に触れるようなことは以前からありましたか?

押野

手作りブームもあって、周りのみんながほとんど手作り市に出店していたんですけど、逆に反抗して「絶対出さない」って思っていました(笑)。五条のお店もあったので、ここだけでとりあえず頑張ってみようと思って、ほとんど出さなかったですね。

 

路地自体が面白い路地になってきていたので、町屋の取材が入るようになって、そうなるとパタパタ〜っとこちら(Rim)にも取材が入って、本に載せていただきました。そのおかげで最初の頃からお客さまがいて、ありがたいことにそれでなんとか生計をたてていくことができました。

──

タイミングもよかったんですね。

押野

いやいや、本当にラッキーでした。

──

お店をやっていてよかったなあと思うことやしんどかったなあと思うことはありますか?

押野

良かったことは沢山あります。やっぱり自分のやりたいようにやっているので、うまくいった時はものすごく嬉しいし、仮に失敗した時も納得がいくというか。変なストレスはないですし、きちんと頑張れば成果がでてくるかなと。それと京都って物作りをされている方が多いので、そういう方との交流も自然に出来上がっていくのがいいですね。

──

今このお店になって、力をいれていることがあれば教えてください。

押野

以前もそうだったんですが、作業場を見えるようにしています。わたしも気が引き締まるし、完成されたものだけを見るよりも、作ってる工程を見られた方が、肉まんとかも美味しそうに見えるみたいな(笑)

──

ありがとうございます。今お客さんはどのような方が多いでしょうか?

押野

良かったことは沢山あります。やっぱり自分のやりたいようにやっているので、うまくいった時はものすごく嬉しいし、仮に失敗した時も納得がいくというか。変なストレスはないですし、きちんと頑張れば成果がでてくるかなと。それと京都って物作りをされている方が多い。

 

京都市内、市外が半々くらいですね。京都本などにたまに載せていただいているので、遠方の方も多いです。前は町屋で京都っぽかったんですけど、こちらに来てから京都っぽさはゼロになっちゃって、その分商品力を上げていかないとな、と思っています。

──

商品力ですか?

押野

最初の頃って複雑なパターンに凝ってしまっていたんですけど、今型紙もだんだんシンプルになってきていて、シンプルだけど成り立っているというか。そういうものがちょっとずつできてくるようになってきています。

──

技術が上がってそういうことをしなくてもよくなったということでしょうか?

押野

そうですね、以前は知識もなかったからやたら貼り合わせとか変なことしてたんですよ(笑)。芯材を入れたりとか。余計なことをしてしまっていた。必要なかったな、と気づいて本当にシンプルになってきましたね。

──

押野さんのこれからの展望を教えてください。

押野

昔は今の状況を続けること、って思っていたんですけど、10年やってるうちに、趣味も変わってきて、10年前と変わってる部分も出てきたので、「今」の自分が持ちたいものを作っていけたらなあ、と。具体的にはまだちょっとわからないんですけど。

──

10年間で何が自分の中で一番変わりましたか?

押野

素材の見方というか好みがかわってきて、昔はいろんな色で染めてもらえる革っていうのを条件で探していたんですけど、いまは全部うち(rim)のオリジナルの色で染めてもらっています。色はもちろん大事にしていきたいですけど、素材を大切に選んでいこうかなと。

──

最後にですが、革の魅力を教えていただけますか?

押野

モノって使っていたり時間が経つと劣化していくと思うんですけど、革は育っていくというか、同じモノを同じ時期に別の方が持っていたりすると、性格によって全然違うモノになるんですね。5年後とかに修理に持ってこられたりすると、本当に綺麗なままの方もいれば、傷だらけで持ってくる人もいるし、両方嬉しいんですけど、ほんとうに性格が出るんですよね。それがおもしろいなあ、と。

──

ありがとうございました!

WRITER

RECENT POST

SPOT
ART ROCK No.1
SPOT
京都シネマ

LATEST POSTS

INTERVIEW
ただ“おもろい”と思うことをやっていたら、いろんな「無い!!」に気づいた〈トマソンスタジオ〉インタビュー

特集『言葉の力』の企画として本記事では、自らの思想をどのようにして言葉に乗せ発信してきたのかを探る。…

REVIEW
ザ・ディランⅡ

きのうの思い出に別れをつげるんだもの(1972年)

INTERVIEW
どうやって作られているか知るために現場を開く。建築集団「々」野崎将太 インタビュー

COLUMN
【Dig! Dug! Asia!】Vol.6 後編:ジャンルを融合させるパキスタンアーティストたち

「台湾のシーンが熱い」と透明雑誌が日本のインディーシーンを騒がせて、早くも10年近くになるだろうか。…

COLUMN
【Dig! Dug! Asia!】Vol.6 前編:パキスタンの「文化の床」Coke Studio Pakistan

パキスタンの音楽的背景と、その再興に挑み続けるテレビ番組 CokeStudioについて。