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KYOTO BREWING CO.

FOOD 2016.02.21 Written By 山田 克基

アンテナ編集部はホームページを見るなり、すぐにインタビューの依頼のメールを送信した。それはビール好きの僕らだからという事だけではなく、彼らの人柄に惚れたからである。映画のように出会った3人の男性が作り上げたこの“京都醸造株式会社”には夢と笑顔とビールへの愛がこれ以上ないほど詰まっていた。ビール好きはもちろん、今までビールを飲めなかった人も実際にホームページを見て彼らの人柄を知った上でまずはタップルームへ足を運んでいただきたい。取材チームの中でも今までビールを飲めなかった人が、実際にビールをいただいて飲み干したほど。

 

今回は創設メンバーの一人で醸造を担当するクリス・ヘインジさんに工場を見させていただきながら、ビールにかける想い、今後の展望をお伺いしました。現在は全国のバーなどで樽生と瓶ビールの販売をしており、今後個人への瓶詰の販売もされていく予定。定番商品から季節商品まで味わい尽くしてほしい。

住所

京都府京都市南区西九条高畠町25-1

営業時間

タップルーム

金 17:00〜21:00(LO 20:30)

土・日 12:00〜18:00(LO 17:30)

電話

075-574-7820

HP

http://kyotobrewing.com/

──

まず、ホームページでも書かれていますが、改めて京都で工場を開かれた理由を教えてください。

クリス

最初は単純だったんです。京都に住んで13年目になるんですが、最初は立命館大学の事務をしていて趣味だったビール造りを仕事にしたいと思い始めた時に好きな事を好きな町でしたいと。京都は都会過ぎず田舎過ぎずバランスがよくて、他の二人(立ち上げメンバーであるポールさんとベンさん)に話した際に場所も調べましたが京都の職人気質の町であるという点が気に入りました。ビールも職人技がいるので。作っているものは違いますが、モノづくりに対する気持ちは同じだと思うので馴染めるのではないかと感じました。

──

その中でも南の方に工場を構えられていますが?

クリス

場所のこだわりはなく、20棟程見ましたがレイアウトがビール工場に適していて、街にも近いこの場所が一番でした。

──

13年住まわれているとのことですが京都でお好きな場所はありますか?

クリス

最近は忙しくて行けていないのですが、山登りが好きなので比叡山や清滝は好きです。あとは家の近くの北野天満宮の御土居でけやきの木の下に座ってビール飲んだりするのが好きです(笑)。

──

それすごくいいですね(笑)。その辺りにまだ住まれているんですね。

クリス

最初は朝早く夜も遅かったので自転車で来ていましたが、最近は時間も安定してきたので朝もバスの快速1本で来られます。

──

朝は早いんでしょうか?

クリス

仕込みの日は7時位で、普通の日は9時位ですね。夜は19時か20時位には終わっています。最初は仕込みのペースも落ち着かず24時位までかかる時もありましたが(笑)。

──

仕込みはかなり大変そうですね。

クリス

麦芽だけだと一回400kg使用します。この場所(2階にある麦芽の粉砕機のスペース)には1000kg+1000kgの麦芽がおけるように設計されています。リフトは材木工場だったころから有るものを利用していて、麦芽が到着したらこの部屋に運び入れます。

──

以前の設備も残されているんですね。材料はどこから仕入れているんでしょうか?

クリス

麦芽はドイツやベルギー、イギリスです。日本のものは高いので(笑)。ホップはアメリカとヨーロッパです。日本は大手メーカー用のホップの畑しかなかったのですが、京都の与謝野町で4年ほど前から生産されているホップを毎年少し使用しています。今はまだ量が少ないですが上手く行けば今後京都産のホップでビールが作っていけると思います。

──

日本にはビールを作る材料自体があまりないんですね。

クリス

そうですね。大手メーカーは日本産のものを何割か使用しないといけないという決まりがあるので、専用の畑を持っているのですが、小さなブルワリー(※ビール等を醸造する場所をいう。大手の場合はその規模からビール工場と呼ばれることが多い)は基本的には輸入のものを使っています。

──

観光地では地ビールなどがありますが、あれは大手がされている事が多いのでしょうか?

クリス

大手が絡んでいる事は少ないです。なので基本的には材料は海外から輸入していると思います。地のものはお水位ですね。そういうのもあって最近ではビールの味にこだわる所は『地ビール』ではなく『クラフトビール』という言葉を使うようになりました。

──

『クラフトビール』と呼ばれるのにはそういった理由があったんですね。現在京都醸造では何人働かれているんでしょうか?

クリス

作っているのは僕とアシスタントブルワー3人、販売や経理を含め社員は現在11人です。他にタップルームのアルバイトスタッフが数人います。

──

新入社員も採られているんですね!

クリス

結構問い合わせは多かったですよ。日本でのクラフトビールのブームは2回あって、1回目は1990年代で急に増えた時期があったんですが、あまり美味しくなくてうまくいかなかったんです(笑)。現在は第2ブームで、ビールの事を大好きな人が味にこだわってブルワリーを建てるという動きが出てきています。それで問い合わせが多いのではないかと思います。

──

海外ではクラフトビールが多いんでしょうか?

クリス

クラフトビールはアメリカが発祥と言われていて70年代位から作られ始めて現在では急増して全体シェアの14%もあります。日本ではまだ0.1%しかないです。

──

ブルワリー同士で横の繋がり等があるのか知りたいのですが。

クリス

アメリカではあります。日本でも一応繋がりはあって仲良くなれば色々教えてもらえますが、日本の文化的によそ者には教えないという所もまだあります。

──

クリスさん自身は横の繋がりはどうでした?

クリス

手作りでビールを作っている頃から好きなブルワリーができたので、イベントで挨拶に行ったり京都で毎年行われる『地ビール祭京都』にボランティアスタッフで参加したりで少しずつ繋がりが出来ました。なので工場を立ち上げる時にも相談できる人がいたのは心強かったです。

──

好きなればこそですね。ビール造りでクリスさんが大切にされている事を教えてください。

クリス

前にも聞かれてあまりいい答えが出なかったんです(笑)。ブルワリーとして大事にしているのは「自分たちの飲みたいビールを作る」という事です。というのも美味しいかどうかの判断が自分でできるからです。うちでは酵母とホップにこだわっていて、メインはベルギーの酵母とパンチのあるアメリカンホップです。僕がビールを造っていると思われがちなんですが、ビール造りにおいて僕は麦汁までしか作れなくて最終的にビールを造るのは酵母なんです。酵母が元気に働ける環境を作るのが僕の仕事で、そこがチャレンジであり面白い所ですね。

──

ビール造りにもとても興味が持てました。タップルームを始められるきっかけはどういった事でしたか?

クリス

造っている人は飲んでいる人の顔が見たいし、飲んでいる人は造っている顔が見たいですよね。大手工場ではやっている所もありますが、十分に楽しめないと思っていたので。タップルームができるまではイベントなどでしかお客様がビールを飲んでいるのを直接見る事ができなかったので、お客様が楽しそうに飲んでいる様子を見られたり、ビールの感想などを直接聞かせてもらうことができるようになったことはとても嬉しいことです。お客様にも楽しんでいただけているんじゃないかと思っています。

──

最後に今後の目標を教えてください。

クリス

クオリティの高いビールを安定して供給する事ですね。今はクオリティに自信はありますが、まだ安定できていないので。飲んだお客さんからは「京都醸造はいつ飲んでも面白くて美味しいビールですね。」と答えていただけるようなブルワリーになりたいです。

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